皆さんは音楽の「プロデューサー」ってどういうイメージですか?
ビートメイカーコミュニティを盛り上がりに、今も多彩な企画で楽しませてくれているOneVinylBeatsさん。【Twitterはこちら】
その企画のひとつ「PRODUCER BATTLE」は皆さんご存知でしょう。
企画主旨とか、内容とか顛末は私の拙い筆では伝えられませんので、ご存じない方はぜひ動画をみて!
んで、遠巻きではありますが、コーヒー屋兼DTMerの010COFFEE a.k.a. FrederickSum2001としてこの企画を拝見していて、
ビートメイク、音楽制作におけるプロデューサーとは?
…みたいな、疑問を持つ日々でした。
偶然の一致で、私のAmazon Primeビデオのリストに「サウンドブレイキング」というコンテンツがあったので、エナドリ片手に視聴。
自分なりの「プロデューサーとは」みたいなものを記したいと思います。
サウンドブレイキングとは
※アマプラのサウンドブレイキングはこちら。
ジョージ・マーティン監修、第60回グラミー賞 ベスト・ミュージック・フィルム、第69回エミー賞にノミネートされた音楽の歴史ドキュメンタリー最高傑作!
フィル・スペクター、ビートルズのレコーディング秘話など……。60年代から現在に至るまで世界中のファンを魅了し続けた名盤の誕生秘話をお届けする完全保存版の音楽ドキュメンタリー・シリーズ。
公式インフォメーションより
2016年に米国で開催された「SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)」というイベントでプレビューが放送され、その後30か国以上でも放映されたそうです。
私の眼に入ったのは最近の事ですが、22年の7月にはCSでも放送された模様。
これまで音楽の「プロデュース」に無頓着だった自分は、恥ずかしくも「ジョージ・マーティン」も知らなかった…
エピソードワン「レコード・プロデューサー」
アーティストとレコード・プロデューサーとの相互関係は発想と実践。音楽が作られてきたスタジオの内部を掘り下げていく。
https://www.musiclifeclub.com/news/20220712_04.html
知らなかったけど、このエピソード1を見て、そんなことはどうでも良いし、プロデューサーというのは、「コレ」と定義できない何かを抱えた存在なんだ、と感じさせられた。
巷に溢れる音楽は、動画共有サービスやストリーミングなどで、さらに身近に、いっそ飽和状態にある。
それが良いのか悪いのかはまだ分かりませんが、そこに至る大きな流れの源流に迫るのが本作。
その進化の転換点にあり、我々が今も憧憬を抱く「スタジオレコーディング」、そしてそこに必ず存在する「プロデューサー」というものにフォーカスしたのがエピソードワンでした。
名だたる名プロデューサーとアーティストとの向き合い方
「ウォール・オブ・サウンド」のフィル・スペクター、プレスリーの才覚を育てたサム・フィリップス、そしてビートルズとアビーロード・スタジオのジョージ・マーティン。
中でもやはりヒップホップ好きとしては、ドクター・ドレ―が出てきた時は「フゥー!」となりました。
あの人はまぁ凄いよね。
てか自分の「プロデューサー」のイメージは、かなり「ヒップホップの仕掛け人」的なイメージが先行していたのが、この映像を見て感じさせられた。
思い返せば、N.E.R.Dのファレルがグウェン・ステファニーやスヌープドッグをフィーチャーしだした時に、「うわーファレルすげー」みたいに思ったのが初めて「プロデューサー」というものを意識した経験かもしれない。(もう20年近く前だ…涙)
逆に「セルフ・プロデュース」のジョニ・ミッチェルや、スライ&ザ・ファミリー・ストーン。このお二人は、「プロデュースなんてできないよ」と言われていたり、我らがQ-Tipが「スライはファンクに技巧を取り入れたことがフレッシュ。初期のHIPHOPとも言える」と太鼓判。
泣く子も黙るDefJamリックルービンが、「ジョニー・キャッシュ」を再フックアップしたシーンは、プロデューサーの存在感に驚いた。
Dr.Dreの当時のインタビュー映像で、「ヒップホップレコードを作るのは簡単さ。でも良質なものを作るのは簡単じゃない」と語るシーンは背筋が伸びる思いがした。
PRODUCER BATTLE(プロバト)とは
ビートメイカー・プロデューサーにスポットを当てながら、ラッパーとの楽曲が出来上がるまでをドキュメント方式で公開。
https://www.youtube.com/watch?v=7p9jCeXYWGs 概要欄より引用
さらにはどちらのプロデュースが良かったのか、皆さんに判定してもらう
「PRODUCER BATTLE」(通称プロバト)
あくまでもピースフルな対決です。
まずは記事冒頭の動画をチェキラー!
OVBさんの大変興味深い企画のひとつ。
ビートメイカー・プロデューサーとラッパーで、楽曲が出来上がるまでをドキュメントする本企画。
ある意味上述の「サウンドブレイキング」より真に迫った現在進行形のドキュメンタリーをリアルタイムで体感できた俺はめちゃ果報者だと確信できる、それはそれはエンターテイメントな企画でした。
※2023年3月30日に結果が発表されてます。が、そんな細けぇ事はどうでもよいんだよ!!
ラッパーとプロデューサーの生の掛け合い!!めちゃ貴重!!クリエイター必見。人間なめんな!
戦う者たち
私なんぞがご紹介奉るのは誠に恐縮の至りでございますが、
簡単にご紹介させていただきます。(カッコ内はプロデューサーかラッパーか、と簡単な肩書)
- SillyBoy (プロデューサー:OVB代表、ビートメイカー)
- クライスタ⭐︎マン⭐︎キー (ラッパー:牧師ラッパー )
- Fuzz (プロデューサー:今回はFUZZですお間違いなく。レーベル主催)
- Ark DA Aegir (ラッパー:若いのにめちゃスキルフル丁寧!)
(お名前クリックでTwitterアカウントへ飛びます)
Vol.1たる今回は【Sillyさんとキーさん】vs【FuzzさんとArkさん】の構成で、
作品を作り上げ、それをTwitterの投票で勝敗を決するというマジでリアルなバトル(かつピースなのが良き)。
プロバトの面白味
Fred的には、この企画の面白みは、ドキュメンタリックなのはもちろんですが、
過程が共有され、その後の振り返りまで見ることができる今、
プロデューサーのアプローチがここまで異なるのか、という対比にあると感じました。
ここまでミラーなのあり得るんか?というレヴェル。
クリエイターはどうしても孤独なものです。
ただ、その孤独なクリエイターが、同じベクトルをもって、クリエイトに向き合うと、こんな化学反応が起きるんだ、と知らせてくれる。
頭では分かっていたけど、いや、頭で思っていた以上に、クリエイターのシナジーはデカい。
それをまざまざと見せつけてくれたOVBには足を向けて眠れません。
私は普段曲作ったり、コーヒーのブレンドを考える時ってもちろん一人なのですが、
そして誰かとクリエイトするときに、ぶつかる事や軋轢を忌避していたけど、
それってもしかしてめちゃくちゃ杞憂、勿体ないのでは、と思わせてくれた。
勝敗は出てますが、私から言ったらOVB優勝。え、なんなら全員500億点ですけど?という気分。
Frederick的プロデューサー観
自分が今後作品を生み出すにあたって、ちょっと考えておこう。
プロデューサーとは、挑戦を後押しする者なのかもしれない。
リックルービンが、ジョニー・キャッシュに構想の場を設け、自己をさらけ出せる場所を提供したこと(キャッシュの居間で、ギター一本で、その全部をレコーディングして、素が出るまで待つたそう)、そして本人にとって大事なことを思い出させること=もともと持っている個性がある。
Sillyさんがキーさんの生い立ちとか愚かしさ(失礼)を全肯定してから、100人中1人に刺されば良くないすか?と言う言葉。キーさんも「Sillyさんには筋が一本通ってますよね」と信頼を寄せる様子。
Fuzzさんが、Arkさんのスキルや特性を見抜いた上で、方向性を示すアプローチ。慣れない環境でも、自分の目指すものを盛り込む姿勢は譲らぬArkさんのイズム。そしてもちろんそれに理解を示すFuzzさん。その掛け合い。
通底しているのは、アーティストが「ねぇねぇ、今のダサいかなぁ…ダメかなぁ…」(クリエイターが作品作るとき、必ずぶち当たる壁)という小さな小さな不安を、「え、それ良いんじゃね?てかかなり良くね?」と、ちょっと肯定してくれる、それがプロデューサーなんでは、と思いました。
その「え、それ良くないすか?」によって生み出された名作が、おそらく物凄い量この世にはあるはず。そしてそれが無かったために世に出なかった作品も星の数だろう。
まとめ
今回のプロバト、企画当初から興味を持って見させていただいていましたが、
同じクリエイターとして、非常に勇気と感動と、何より自分の創作への肯定的なモチベーションをいただきました。
熱に浮かされてダダーっと書き上げたので、正直質の良い文章ではありませんが、
プロバトの生々しさだけは伝わることを願って。
DVD欲しいけど、1万か…
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