チャンドラーのほかの作品は読んでない人間が書きます。村上春樹訳。
作品概要
米作家レイモンド・チャンドラー御大の生んだ探偵フィリップ・マーロウ登場作品の中でも、代表作と呼ばれているくらい有名な作品。
そもそもの翻訳元は1953年で、もはや準古典といっていいレヴェル(村上春樹氏があとがきで言ってるので間違いない)。
もう10年近く前に購入して、また久しぶりに手に取ってみた。
ちなみに2007年版のハードカバー版です。ジャケ買いでした。
感想
そこまで読書量の多くない一般人が読んだ感想です。参考までに。
ハードボイルドな私立探偵ってもう絶滅してるよね?
ハードボイルドと言う言葉はもはや死語なのか?
おそらくグー○ル検索でも、○ッターや○スタグラムにもあんまり登場しない言葉だろう。(未検証 → 少し調べたら「ハードボイルドグルメリポート」とかが上位に…?)
でも、言葉はなくとも、その秘めたる熱い思いは今も俺たちの中に生き残っているはず!
私立探偵、トレンチコート、ウイスキー、バーボン、マグナム、リボルバー、酒、女…
こういう言葉に反応した諸兄には等しくオススメできますので、ご一読あれ。
あ、渋い男性が好みの女性にも読んでいただきたい。できれば感想も聞きたい。
全編に暴力と酒と退廃が満ちていて、読んでいて疲れるまさにハードボイルドですよ。
※注意して読むと、女要素はそこまでありませんでした。あくまで男と男のロマンが屋台骨。
そもそもなんで酔っ払いと仲良くするのか?
冒頭、おしゃれな高級クラブの前でふらっふらになっているテリー・レノックスを見咎めた探偵フィリップ・マーロウ。
氷の美女とタフでラフな駐車係から冷たくされるのを見るに見かねたのか、
はたまた私立探偵の営業活動なのか?
マーロウ自身も自嘲気味に言っているけど、私立探偵をやる人間はこういう事をしてしまうもんらしい。
シリーズの他の作品を読めば、ここはしっくりくるのだろうか。
なぜかめちゃくちゃトラブルに巻き込まれるマーロウ
全体の3分の1、物語の最初の方では、とにかく災難ばかり。
主人公マーロウはそんなに主体的に行動していないにも関わらず、次から次へと厄介ごとが舞い込んでくる。
正直ちょっと可哀そう&ハードボイルドなイメージとは異なる展開が続く。
「あれ?案外面白くない?」とか感じて、本を閉じようか迷いつつ読んでいると…
サスペンスの真骨頂!
物語の中盤から後半にかけて、怒涛の展開!
とある重要人物の死、そして不自然な状況、辻褄の合わない経歴…
我々はもちろん想像するしかないが、マーロウは何か確信をもって物語を突き進んでいく。
このあたりから引き込まれ、一気に読破。
この物語の流れは見事!と膝を打ちたくなりました。(まるで初めて読んだかのような感動)
ハードボイルドな男、暮らしにあこがれている人全員に一読をオススメ。
チャンドラーの時代背景
感想だけじゃつまらないので、チャンドラーさんとその生きた時代についても少し。
レイモンド・チャンドラー(raymond chandler)御大は1888年、シカゴ生まれ。その後アイルランドやイギリスに移るも、1912年にアメリカへ戻ります。
そして1914年第一次世界大戦、彼も従軍し、なんとか生き延びます。
そして1930年代世界恐慌。彼は会計士として働き、そこまで困窮はしなかったようですが、1932年、酒や女絡みで失職。
これを転機に小説を手掛けるようになったそうです。
その後の1939年、記念すべき最初の小説「ビッグ・スリープ」が世に放たれます。(その前に短編書いているそうです)
奇しくも第二次世界大戦。ハリウッド映画も大きく成長。ハードボイルド映画の需要も高まり、彼は映画の脚本も手掛けたそうです。
詳しくはこちらから。
彼は最高傑作であると自負し、この作品に自身の経緯、欠点を大いに反映させていると語った。
それはマーロウなのか、テリーなのか、はたまた二人ともか。
また、このころに彼は妻を亡くしている。
どちらにせよ、大きな歴史の転換点を生きたチャンドラー氏。
2度目に読む際はそういう点も加味するとまた違った印象を与えてくる。
参考書籍
清水 俊二翻訳 Kindle版
電子書籍で気軽に。良い時代になったもんです。
清水版未見なので読みたい。
ペーパーバック
原典。
英語で読むのは大変ですが、邦訳版と少し見比べるだけでも表現の幅が読み取れて面白い。
3冊の「ロング・グッドバイ」を読む
読み比べたくなる本なのでしょう。
村上春樹訳
私の手元にあるのがコレ。なによりジャケットがカッコいい。
一目ぼれでした。
60ページ超に及ぶ村上春樹氏のあとがきも読み応え十分です!
ギムレットを飲むには早すぎる(まとめ)
このセリフ、私生活で使うシーンなんてないでしょうが、でも使ってみたい!
まぁ縁起でもないんですが、男と男の友情というか奇妙なプライドというか相棒感というかなんというか。
簡単な言葉には訳せないので、ぜひ未読の方、そして一度読んだことはあるけどという方、読み返してみてはいかがでしょうか。
参考サイト
- ハードボイルド小説の始祖!『ロング・グッドバイ(長いお別れ)』のあらすじや感想、名言解説
- Raymond Chandler Biography
- wikipedia(英語)
- 長いさようなら(小説)
- Connection.ebscohost.com
- Violin Concerto (Khachaturian)
- イカしたデザインの表紙はコイツだ!
おまけ
併せてこちらもどうぞ。
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