2003年の「自分の仕事をつくる」本はいま通用するのか
makeyourownwork

昔の本を令和になって振り返るシリーズ(ウソ)第2冊目はこちら。

「自分の仕事をつくる」西村 佳哲 (働き方研究家)著です。

ちなみに前回の本はこちら。

ワークライフバランスやリモートワーク的な事が叫ばれて、ますます「働き方」が議論の的になりそうな令和時代。

2003年(平成15年)に書かれたこの本は、果たして令和の時代でも通用するのでしょうか?

make your work!

画像にあるように、「make your work!」のキャッチコピーが印象的です。

当時の私が何を考えてこの本を手に取ったか、いまとなっては謎です。

登場する「自分の仕事」を持つ人々や企業を抜粋すると、

  • 八木 保
  • 柳宗理
  • デニス・ボイル(IDEO)
  • パタゴニア社
  • 小林弘人
  • ファインモールド社

(敬称略)

などなどとなっております。

以上の方々を著者が直接訪ね、見聞きしたことをまとめたノンフィクション・エッセイとなっておりました。

前回が人にフォーカスした内容でしたので、今回はこの中でも会社組織に絞って書いてみようと思います。

PowerBookDuoのデザイナー曰く

これはイメージです

みなさん「PowerBookDuo」ってご存知でしょうか?

知らぬもののいないMacBookの前身ともいえるノート型のMacintoshで、デスクトップとしても使えて…と話すと長くなるのですが、当時としては非常に斬新なデザインで話題となったPCなのです。

そのデザインエンジニアリングを手がけたデニス・ボイル氏を、この著者は米西海岸までインタビューに行っているのです。すごいな…

働き方が違う

デニス・ボイル氏曰く、

結局のところ、課題をクリアーしてゆく唯一の方法は、何度も失敗を重ねることしかない。ほかに方法はありません。

p.79より引用

当時アップルからの相談で、非常に難しいデザインオファーを受けた際にも、このように考えてひたすらトライ&エラーを繰り返したそうです。

第一級のデザイナー集団がこうなのですから、市井の我々はますます手と足を動かさねばいけないのでしょうね。

ちなみにこの結論はヘンリー・ペトロスキー著「フォークの歯はなぜ四本になったか」(平凡社)にも著名だそうですので、気になったかたはどうぞ。

パタゴニアらしさ

アウトドアメーカー「パタゴニア」にも取材に行ってらっしゃいました。

どちらかというとナチュラル志向な雰囲気で人気のある同社は、自社の魅力をどうとらえているのか、少し気になります。

自然な興味

同社は徹底したマーケティングに基づく、完璧なプロダクツを生み出す!という会社ではないそうです。

広報のルー・セトニカ氏は、創業者のシュイナード氏は一年の半分をアウトドアで過ごし、その中でビジネスを考えていたと話します。

スタッフ自身がアウトドアに出かけていく時間も大切です。ここでは自分の仕事に籍を残したまま、四カ月ほど仕事を離れることも可能です。アウトドアに熱中する時間は、私たちの仕事にとってあらゆる意味で重要なことですから。

p.96より引用

このように語るパタゴニアの姿勢は、ワークライフバランスという名ばかりが蔓延して、結局何も変わっていない日本の企業や社会・そして個人にとって、必ずしも無価値とは言えないと感じました。

紅の豚の飛行艇を作った会社

「サボイア S.21」は知らなくても、紅の豚が乗っている飛行艇といえば知らない人は少ないでしょう。

そのプラモデルはその界隈ではそれはそれは有名で、塗装完成品を飾っていたのはうちの近所のプラモデル屋だけじゃないでしょう。

そんな完成度の高いプラモデルのメーカーが「ファインモールド」社です。

彼らはどのような「仕事」をしているのでしょうか。

純粋な思い

アニメに登場する飛行艇とはいえ、プラモデルである以上、実物がそこに存在します。

それを作り上げ、手に取った人々に、「これは飛ぶ」と思わせることは、私たちの想像以上に大変なことのようです。

少ない資料をヒントに、エンジンの資料を探し当て研究し、実物の設計図を探し当て…

わずか100数十グラムのプラスチック製品に、ここまでの労力が割かれていたのかと、頭の垂れる思いでした。

そもそも模型なんて生活必需品ではない。僕らのような仕事がなくなったところで、誰も困りはしないでしょう。だからこそ、つくる側が楽しんでいなかったら嘘ですよね。最初から遊びなんだから、馬鹿みたいに思いっきりこだわった仕事をした方がいいと思うんです。

p.215より引用

このように語る代表者の鈴木邦宏氏の純粋な思いは、令和になった今でも「仕事」に欠かせない要素ではなかろうか?

まとめ

ここまで読んでいただいただけでも、この本の価値は少しも失われていないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

時代は変わり、人々の嗜好も変わり、スマホが世界を席巻しても、なおも変わらない「何か」がある。

そう思わせてくれる素晴らしい本でした。

補足というか難癖というか…

(「ノンフィクション」と銘打ってある割には、作者の主観が結構目立ったような…いや、でも主観の完全に排除された本はただの記録であって…まぁこれは本当に跡付けで考えた事なので、それらをとっぱらっても読む価値のある本だと思いました。)

関連書籍

失敗学のすすめ(講談社)

先の「PowerBookDuo」のくだりでも引用された書籍。

1分間マネージャー(ダイヤモンド社)

「チーズはどこへ消えた?」の著者であるスペンサー・ジョンソン氏も、この本を手掛けている。

部下の主体性を伸ばしたいと思っている方へ。

黒澤明、宮崎駿、北野武 日本の三人の演出家

日本いや、世界でも著名なお三方のインタビュー。値段が高かったらしいが、中古価格は落ち着いている模様。

演出家必読。

参考リンク

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